骨盤底筋と膣トレの基本|どこにあるのか、どう動かすのか

当ページのリンクには広告が含まれています。
骨盤底筋群の解剖図。骨盤の底に筋肉が層になって張られている様子

結論(要点)

  • 骨盤底筋は、骨盤の底でハンモックのように内臓を支えている筋肉の集まりです。意識して動かせる筋肉なので、他の筋肉と同じようにトレーニングの対象になります。
  • 出産・加齢・体重の変化などで負担がかかりやすい部位で、産後や更年期に話題になるのはこのためです。
  • 基本の動かし方は「息を吐きながら、下から上へ引き上げる」。おなか・お尻・太ももに力を入れないことが最大のコツです。
  • 尿もれ・痛み・違和感などの症状があるときは、自己判断でトレーニングを始める前に婦人科・泌尿器科へ。原因によって適切な対応が変わります。

「骨盤底筋(こつばんていきん)」という言葉を、産後や更年期の話題で見かけたことがあるかもしれません。あるいは「膣トレ」という言い方で目にした方もいると思います。

ただ、名前は聞くけれどどこにあって、どう動かすのか分からない。そういう声がとても多い部位です。実際、目で見えず、動かしても分かりにくいので、無理もありません。

この記事では、まず場所と役割を説明して、それから基本的な動かし方に入ります。器具の話は最後に少しだけ触れます。

目次

骨盤底筋はどこにあるのか

骨盤は、上から見るとお椀のような形をしています。そのお椀の底に張られたハンモックのような筋肉。これが骨盤底筋群です。ひとつの筋肉ではなく、複数の筋肉が層になって構成されています。

役割は大きく3つあります。

骨盤底筋群の解剖図。骨盤の底に筋肉が層になって張られている様子
骨盤底筋群を上から見下ろした図。赤い囲みの範囲が、ハンモックのように張られた骨盤底筋群。尿道・腟・直腸の通り道がここを貫いている(画像:Muscles of the Pelvic Floor / OpenStax, Anatomy and Physiology / CC BY 4.0 の図に、赤い囲みと日本語表記を当サイトで加筆)
  • 支える:膀胱・子宮・直腸といった骨盤内の臓器を下から支えています
  • 締める:尿道や肛門のまわりを取り巻き、出口の開閉に関わっています
  • 連動する:呼吸に合わせて、横隔膜と一緒に上下に動いています

3つ目は意外と知られていません。息を吸うと横隔膜が下がり、骨盤底も下がる。息を吐くと両方が上がる。呼吸と一緒に動いているので、トレーニングでも呼吸を合わせることが大事になります。

なぜ産後・更年期に話題になるのか

この部位に負担がかかりやすいタイミングが、いくつか知られています。

タイミング負担がかかる理由
妊娠中子宮が大きくなり、骨盤底に長期間、重さがかかり続ける
出産産道として大きく引き伸ばされる
更年期以降女性ホルモンの変化に伴い、組織の状態が変わる
加齢全般他の筋肉と同様に、使わなければ働きが落ちる
体重の増加常時かかる重さが増える
慢性的な咳・便秘腹圧が繰り返しかかる

男性にも骨盤底筋はあります。前立腺の手術後などにトレーニングが話題になるのは同じ理由です。「女性だけのもの」ではありません。

基本の動かし方

まず、どこを動かすのかを掴むところからです。

ステップ1:場所を感じる

仰向けに寝て、両膝を立てます。この姿勢が、余計な力が入りにくく、最初は分かりやすいです。

その状態で、「おならを我慢するとき」の感覚を思い出してみてください。肛門のまわりがきゅっと締まる、あの感じです。そこから少し前のほう(尿道側)にも同じ感覚を広げていくと、骨盤底の全体が掴めてきます。

ステップ2:引き上げる

締める感覚が分かったら、そこに「上に引き上げる」動きを足します。締めるだけでなく、体の内側へ、下から上へ持ち上げるイメージです。

呼吸は息を吐きながら引き上げる。息を吸いながらゆっくり戻します。前述のとおり、呼吸と連動して動く筋肉なので、この順番が自然です。

ステップ3:回数より「戻す」ことを丁寧に

3〜5秒引き上げて、同じくらいの時間をかけて戻す。これを数回から始めます。

回数を増やすより、完全に力を抜いて戻すことのほうが大事です。締めっぱなしで緩められない状態も、それはそれで不調のもとになります。「締める」と同じくらい「緩める」を意識してください。

よくある間違い

やりがちなことなぜダメか
おなかに力を入れて踏ん張る腹圧が上がり、骨盤底には逆に下向きの力がかかります
お尻・太ももに力を入れる大きい筋肉が動いてしまい、狙った部位が働きません
息を止める腹圧が上がります。吐きながらが基本です
排尿の途中で止めて練習する場所の確認として紹介されることがありますが、繰り返し行うのは避けてください。排尿の仕組みに影響する可能性が指摘されています
毎日何百回もやる他の筋トレと同じで、やりすぎは緊張を招きます

先に医療機関へ行ってほしいケース

ここは正直に書きます。症状があるなら、トレーニングより先に受診してください。

次のような場合は、原因を確かめないまま自己流で始めると、遠回りになったり悪化したりすることがあります。

  • 尿が漏れる、間に合わないことがある
  • 股のあたりに、何か下がってくるような感覚がある
  • 性交時に痛みがある
  • 骨盤や腰に慢性的な痛みがある
  • 出産後で、体の回復に不安がある

受診先は婦人科・泌尿器科が基本です。近年は「ウロギネコロジー(女性泌尿器科)」を掲げるクリニックもあり、この領域を専門に診ています。また、産後は自治体の産後ケア事業や、骨盤底を専門にする理学療法士に相談できる場合もあります。

「こんなことで病院に行っていいのか」と迷う方が多いのですが、この領域は専門の診療科があるくらい一般的な相談内容です。

トレーニング用の器具について

骨盤底筋トレーニング用として売られている器具があります。重みのあるボール状のもの、収縮を感知してアプリに表示するもの、電気刺激を使うものなど、いくつかのタイプに分かれます。

使う前に知っておいてほしいことが3つあります。

  • まず器具なしで動かせるようになるのが先です。狙った筋肉が動かせていない状態で器具を使っても、別の筋肉で代償するだけになります
  • 雑貨として売られているものと、医療機器として承認されているものは別です。効果をうたえるのは承認を受けたものだけで、雑貨は「トレーニングの補助」以上のことは言えません。広告表現でこの区別がついていない商品説明も見かけるので、注意してください
  • 体内に入れるものは衛生管理が必須です。素材(ボディセーフ素材か)と洗浄のしやすさで選んでください

素材の見分け方はボディセーフ素材の選び方に、洗浄と保管は衛生管理の記事にまとめています。

なお、症状の改善を目的とするなら、器具を買うより先に医療機関に相談するほうが確実です。骨盤底筋のリハビリは、専門的な指導を受けられる領域です。

続けるためのコツ

この手のトレーニングがうまくいかない理由は、だいたい「忘れる」です。

おすすめは、すでにある習慣にくっつけるやり方です。歯磨きのあいだ、信号待ちのあいだ、テレビのCMのあいだ。仰向けで感覚を掴んだあとなら、座っていても立っていてもできます。

変化を感じるまでには時間がかかります。筋肉のトレーニングなので、数日でどうこうなるものではありません。数週間から数か月の単位で考えてください。

あわせて読みたい

※この記事は一般的な体の仕組みと運動の方法についての情報提供であり、特定の症状の診断・治療について述べるものではありません。症状のある方、妊娠中・産後の方、持病のある方は、開始前に医師にご相談ください。

あなたの評価:
累計 0 票・平均 ★0
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次